【8月のコラム】その夏バテ、「かくれ脱水」かもしれません|高齢のご家族を守る猛暑の体調管理

連日の猛暑が続く8月。「食欲がわかない」「体がだるく、力が入らない」「夜、よく眠れない」――毎年のことだからと、そのままにしていませんか?
その不調の背景には、自覚のないまま体から水分と電解質が失われていく「かくれ脱水」が隠れていることがあります。とくにご高齢の方は症状が出にくく、気づいたときには熱中症や腎機能の低下に進んでいることも少なくありません。福岡県飯塚市伊岐須のいいづか在宅・ファミリークリニックでは、外来診療と訪問診療の両面から、地域の皆さまの夏の体調管理をお手伝いしています。
この記事では、猛暑期に体の中で何が起きているのか、ご家族が気づける危険のサイン、そして今日から始められる対策について解説します。
この記事でわかること
・「かくれ脱水」とは何か
・高齢の方が脱水・熱中症になりやすい3つの理由
・ご家族が気づける危険サインのセルフチェック
・猛暑を乗り切る5つの生活習慣
・受診・救急要請を考えるべき症状の目安
・よくあるご質問(FAQ)
「かくれ脱水」とは ― 自覚のないまま進む水分不足
私たちの体は、成人でおよそ60%が水分でできています。汗をかけばその分の水分と塩分(電解質)が失われますが、猛暑の時期に見落としがちなのが、呼吸や皮膚から気づかないうちに蒸発していく「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」です。その量は1日1リットル近くにもなります。
のどの渇きを感じた時点で、すでに体重の約2%の水分が失われているといわれます。この「渇きを感じる前」から静かに進行している状態がかくれ脱水です。
かくれ脱水が生む悪循環
体の水分が減ると血液が濃くなり、めぐりが悪くなります。すると胃腸への血流も低下して消化機能が落ち、食欲不振に。食事量が減れば、食事から得ていた水分と塩分もさらに減る――「夏バテ」と呼ばれる不調の多くは、この悪循環の中で起きています。
高齢の方が脱水・熱中症になりやすい3つの理由
1. のどの渇きを感じにくくなる
加齢とともに、渇きを感知する脳の働きが鈍くなります。体が水分を必要としていても「飲みたい」と感じにくいため、ご本人に自覚がないまま脱水が進んでしまうのです。
2. 体にためられる水分量がもともと少ない
高齢になると体内の水分量は約50%程度まで減り、水分の貯蔵庫である筋肉も少なくなります。同じ量の汗をかいても、脱水に傾くまでの「余裕」が若い方より小さいということです。
3. 暑さを感じにくく、エアコンを控えがち
皮膚の温度感覚も鈍くなるため、室温が30℃を超えていても「そこまで暑くない」と感じることがあります。「もったいない」「冷房は体に悪い」という思いから使用を控え、室内で熱中症になるケースは決して珍しくありません。
こんなサインはありませんか? ― セルフチェック
かくれ脱水セルフチェック
☑ 日中エアコンをつけず、扇風機だけで過ごしている
☑ トイレの回数が減った/尿の色が濃い
☑ 口の中や唇、脇の下が乾いている
☑ 食欲が落ち、そうめんなど単品の食事が続いている
☑ 手の甲をつまむと、皮膚がなかなか元に戻らない
☑ 立ち上がったときにふらつく
☑ なんとなく元気がなく、日中うとうとしている
☑ ここ数日で体重が1〜2kg減った
3つ以上当てはまる方、またはご家族にこうした様子が見られる場合は、かくれ脱水が進んでいる可能性があります。とくに「いつもと様子が違う」というご家族の気づきは、非常に重要なサインです。
猛暑を乗り切る5つの習慣
経口補水液の使い分け:大量に汗をかいたときや、食欲が落ちて食事がとれないときは、電解質濃度の高い経口補水液が適しています。一方、日常の水分補給として飲み続けると塩分・糖分のとりすぎになることも。普段は水や麦茶を基本にし、経口補水液は「必要なときに」使い分けましょう。糖尿病や腎臓病で治療中の方は、事前に主治医にご相談ください。
こんなときは受診を ― 受診・救急要請の目安
脱水や熱中症は、早い段階で対応すれば回復も早い一方、進行すると命に関わります。次のような様子が見られる場合は、早めにご相談ください。
・食事量・水分量が明らかに減っている
・微熱やだるさが数日続いている
・立ちくらみ、ふらつきが増えた
・尿が半日以上ほとんど出ていない
・下痢や嘔吐があり、水分がとれない
・足がつる、こむら返りを繰り返す
・持病の薬(利尿剤など)を服用中で、食事量が落ちている
すぐに救急要請を:呼びかけへの反応が鈍い・意識がもうろうとしている/自力で水分がとれない/まっすぐ歩けない/全身のけいれん/汗が出なくなり皮膚が熱く乾いている。これらは重症の熱中症を疑うサインです。ためらわず119番通報し、涼しい場所へ移して首・脇の下・脚の付け根を冷やしてください。
当院では、外来診療に加えて訪問診療(在宅医療)も行っております。通院が難しい方、ご高齢のご家族の夏の体調が心配な方は、どうぞお気軽にご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
麦茶はカフェインを含まず、ミネラルも補えるため夏の水分補給に適しています。一方、緑茶・紅茶・コーヒーはカフェインの利尿作用があり、飲んだ量ほど体に残らないことがあります。またビールなどのアルコールは水分補給にはならず、かえって脱水を進めますのでご注意ください。
設定温度を下げすぎず28℃前後にし、風が直接体に当たらないよう風向きを調整しましょう。薄手の長袖やひざ掛けを併用し、扇風機やサーキュレーターで空気を循環させると、低い設定にしなくても涼しく感じられます。冷えによる胃腸の不調が続く場合は、一度ご相談ください。
そうめんなど炭水化物に偏ると、たんぱく質やビタミンが不足し、かえって疲れが抜けなくなります。卵・豆腐・鶏肉・魚などを少量ずつでも組み合わせ、薬味や酸味(酢・レモン・梅干し)で食べやすく工夫しましょう。食欲不振が2週間以上続く場合は、消化器の病気が隠れていることもあります。
電話では「エアコンをつけているか」「今日は何を食べたか」「トイレは普段どおりか」の3点を具体的に聞くのがおすすめです。「大丈夫」という返事だけで判断せず、会話のテンポや声の張りの変化にも注意を向けてください。ご心配な場合は、訪問診療や地域の見守りサービスの活用もご検討ください。
夏の体調管理は、いいづか在宅・ファミリークリニックへ
「毎年のことだから」「年のせいだから」と見過ごされがちな夏の不調ですが、その裏に脱水や別の病気が隠れていることは珍しくありません。早めに手を打つことで、つらい時期をぐんと楽に過ごせます。
当院は、内科・消化器内科の外来診療に加え、通院が難しい方への訪問診療を行っております。ご本人はもちろん、ご家族からのご相談も歓迎しております。この夏を安心してお過ごしいただけるよう、かかりつけ医としてお支えいたします。
いいづか在宅・ファミリークリニック ― 診療案内
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